般若心経について

 私の実家のお寺はすべて浄土真宗なので、般若心経を聞く機会はまず無い。浄土真宗では般若心経を唱えないのだ。それを聞くのは誰かの葬式の時くらいだ。とは言ってもそもそも般若心経がどんなお経なのかを知らないものだから、実際には葬式の中で般若心経を唱えているものなのかどうかもよくわからない。
 そんな私がこのお経に興味を持った。今まで仏教関係の本をたくさん読んできて、その中に般若心経が何度も出てくるのだから、興味を持たない方がおかしい。しかし本屋に行って驚いた。般若心経について書かれた本は無数に存在するのだ(大袈裟?)。さてどの本を読もう、と思って手に取ったのは次の2冊。
1.『現代語訳 般若心経』玄侑宗久、ちくま新書
2.『般若心経は間違い?』アルボムッレ・スマナサーラ、宝島社新書
理由は二つ。どちらの著者もこれまで好んで読んできた作家であること。肯定派と反対派の意見をどちらも聞きたかったこと。
 般若心経は大乗仏教の空の概念を短い言葉でまとめたものだ、とよく言われる。大乗仏教の立場からは臨済宗の玄侑宗久さん。テーラワーダ仏教(初期仏教。昔は小乗仏教とも呼ばれたが、これは蔑称だということで、今はこのように呼ばれる)の立場からはスマナサーラさん。1の著書はわかりやすい。丁寧な語り口で、様々な異論をうまく包み込んだ形の、どちらかというと客観的な書き方がされている。入門書にぴったりという感じだ。対する2は、毒気が強い。元々スマナサーラさんは口が悪い方なので、しょうがないのかもしれない。般若心経は嘘だとまでいう。それくらい大乗仏教とテーラワーダ仏教は違うということの証でもあるのだろう。
 私は1を読んで般若心経を覚えようと思い、2を読んでその気持ちが萎えた。そして読み終わってかなりの時間が経った今では、もう一度1を読んで、大乗仏教の立場から般若心経を勉強し直そうか、と思っている。般若心経をこれから学ぼうとする人にも、このように三度読まれることを勧める。そのあとで色んな本を読めばいいのかな、と思っている。
 ちなみに私は、仏教宗派の中ではテーラワーダ仏教と禅宗系が好きである。その好きな宗派の二つが、このように般若心経に対して全く逆の立場を取っているのはおもしろい。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。