『青蓮茶室』


 北24条通りに面していて、札幌サンプラザのちょうど向かいにある。韓国伝統茶、台湾茶、中国茶、日本茶などを揃えており、アジアのお茶を供する店、と言えばわかりやすいかもしれない。食事、スウィーツもあり、結構おいしい。お茶の種類はかなり多いが、ここ数年はメニューを開いたことがない。店主からの「今日はどんな感じのがいいですか?」、あるいは私からの「今日のお薦めのお茶はありますか?」の一言から始まる一連のやりとりから、出されるお茶が決まってくるからだ。昨日は前者の質問から始まり、「目も楽しませてくれるのがいいです。工芸茶とか君山銀針とかみたいな」と私。店主はちょっと考えて、「じゃあ工芸茶で行きましょうか」と言って、千日紅とジャスミンの入った緑茶を出してくれた。工芸茶が考案されたのは1980年代の後半あたりで、まだ日が浅い。お湯を入れる前は直径2cmくらいのボール状の緑茶の塊で、それにお湯を注ぐと紐で縛った緑茶が開く。そして、工芸茶の種類によっては中に花を仕組んであったりする。今回はこのタイプで、開いた緑茶の中からジャスミンの花でできた2本の紐が上に伸びて、それが合わさったところ、つまり頂上に千日紅の紅い花が鎮座するという、凝った作りになっていた。手を持つところが千日紅で、紐がジャスミン、本体が緑茶のハンドバッグと言えばわかっていただけるだろうか。(本当は写真があればわかりやすかったのだろうが、不覚にも携帯電話を忘れていったので、今回購入したお茶の写真だけ掲載した。)このお茶が大きめの赤ワイングラスになみなみと注がれて出てくるのだ。「良く出るお茶だから7,8杯は行けるよ。」と店主。まさかそんなには、と思いつつ、2時間ほどで7杯飲んで帰ってきた。
 大きな店ではない。カウンターテーブルも含めて大きさ、形もバラバラのテーブルが4つ。椅子の種類もバラバラ。カウンターと、入って左側の壁沿いには色んなお茶や茶器が所狭しと並べられている。カウンターが空いていれば普段はそこに座るのだが(二人しか座れない)、そこにはすでに客がいたので、今回は5人掛けの丸テーブルに座った。一番大きな長方形のテーブルでは店主とお客さんがずっとポーカーをやっていて、私のお茶が無くなると席を立ってお湯を注ぎ足しに来てくれる。カウンターの客は持ち込んだジョアンのパンを店主から借りた包丁で切って私にまでくれる。客は本を読んだりおしゃべりをしたりと思い思いのことをしている。その合間に店主との軽いやりとりがあったりする。とにかくゆるいのだ。外国の田舎のバーってこんな感じなのかな、と思ったりする。日本のスナックもそうなのかもしれないが、何しろ私は酒が飲めないのでその辺りのことには疎い。でも(強く言いたい)、この店には風格のようなものが備わっている。伝統的なお茶を出すに値する不思議な風格がある。そこがまた魅力なのだ。
 さて、帰りにお茶を買った(写真)。左が韓国伝統茶である雙和茶(サンワチャ)。漢方薬のいっぱい入った薬湯である。決して飲みやすいお茶ではないが、元気のない時に飲むと効く。上が台湾の東方美人で、下が発酵度の高い、同じく台湾の文山包種。初めこちらが所望したのは文山包種と鉄観音だった。しかし昨年と今年の文山包種の出来は悪く薦められないと言うので、発酵度の高いものに落ち着いた(文山包種は東方美人や鉄観音と同じ青茶(チンチャア)であるが、本来このお茶は発酵度が低く、緑茶に近い)。鉄観音で良いのがなければ岩茶(武夷岩茶)でも、と言ったのだが、今は岩茶も良いものが手元に無く、これから買付けに行くのだという。そういえば岩茶の中でも私が特に好きな大紅袍は最近では木がだめになってきたと以前来たときに聞いた気がする。そして最後、右側が店主お薦めのプーアール茶の木の芽だけを摘んで白茶(パイチャア、バイチャア)の製法で作ったお茶。味は白茶の味なんだろうな、くらいしか想像が付かないが、店主は高級なことを強調していた。
 ここに来ると色んな意味で楽しい。

青蓮茶室』札幌市北区北23条西5丁目メルローズプレイス1F(地図

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。