『札幌学』岩中祥史

 新潮文庫。著者は札幌に住んだことはなく、札幌フリークというわけでもない。他の著書『出身県でわかる人の性格』『名古屋の品格』『博多学』などからわかるとおり、県民性について詳しい人なのだろう。私はさほど県民性や国民性には興味が無く、この手の本を読んだのは初めてだ。上司に強く勧められたから読んだにすぎない。札幌に住んでいるんだから少しくらい札幌のことについて知っておいてもいいだろう、と思ってのことだ。
 それにしてもよく調べている。札幌の歴史、札幌人の性格、食べ物、風俗、行事、スポーツ、公園、音楽など、守備範囲が広い。しかも情報が新しい(今年、平成21年の3月に上梓されたばかりだから当たり前か)。札幌の成り立ちなど、私の知らなかったことも多く、勉強になった。事実の部分に関してはたぶんほぼ正しい(それは違うだろう、というのも中にはあるが)。だが、その解釈となると著者の主観に影響されている部分が結構あるように感じる。この辺りのことは検証のしようがないので、はっきりそうだとも言えないのであるが。
 それは違うだろう、と私が感じた部分も、案外合っているのかもしれない。私は人生の約半分を札幌で過ごしたにすぎず、純粋な札幌人とは言えないからだ。事実この本に書かれている札幌人の性格と私の性格とはかなり異なる。
 ちょっと話がずれてしまった。札幌に興味のある人、これから札幌に転勤になる人、旅行に行こうと思っている人は、本書を取ってみてもいい(ぱらぱらっとめくる程度でいいから)。これで札幌の概要はつかめる。知っているとお得な情報も多い。ただし札幌に住んでいる人の人間性については、あまりこの本のとおりだとは思わない方がいい。札幌にも多種多様な人種が住んでいる。また、内容が盛りだくさんなので、ひとつひとつの項目に対してはそれほど突っ込んだ話をしていない。まずはこの本を読んで概要をつかみ、その上でもっと詳しく知りたい人は個別に調べると良いだろう。
 なんだかこの本を薦めているのかいないのか、わけのわからないコメントになってしまった。それは本書を読んで役に立った部分が多かったにもかかわらず、気分的には不快にさせられることが多かったせいだと思う。取扱注意、というわけだ。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。