『オダリスクの踊り~タレガ作品集~』福田進一

 2009年。タルレガとも言われるFrancisco Tárrega のトリビュートアルバム。前半部はタレガ本人が作曲した10曲、後半部は他人の書いた曲をタレガがギター用に編曲した8曲という構成になっている。
 まず聴いて思ったのは、クラシックってこんなに自由なんだ、ということ。それは1曲目の「ラグリマ(涙/前奏曲)」を聴いて数秒も経たないうちに感じた。この曲のメロディはとてもきれいで運指も比較的簡単なのでお遊びで弾いたことがある(クラシック用のナイロン弦ではなくスティール弦で)。そのときは楽譜にある音だけをなぞってテンポも一定にして「しっかり」弾いてしまっていた。福田進一はこんな風には弾かない。音ひとつひとつの強弱に気を遣ってテンポも曲調に合わせて自由に変わり、非常に感情豊かに弾いている。すぐに引き込まれてしまった。それはどの曲に対しても言えることである。クラシックってお堅くてちょっと私には・・・と思う人もかなりいるのではないかと思うが、全然そんなことはなくて、ちょっとした制約(それは楽譜に書かれていることであったり、作曲された当時の時代背景であったりするのだが)を守りさえすれば自分の解釈で自由に弾いていいのだ。言い過ぎであろうか。でも私はこのアルバムを聴いてそのことを強く感じた。これまでも村治佳織や木村大などを通じてクラシックギターの世界には触れてきたのだが、ここまで衝撃を受けたことはなかった。もしかすると福田がすごいのではなくて私の脳がようやくクラシックを受け入れるように変化しただけなのかもしれないが、今後彼の他の作品も聴いてみたいと思った。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。