『12 Stories』岸部眞明

 2009年。7枚目のアルバム。前回の『My Favorites』がカバーアルバムだったので、オリジナルとしては6枚目になる。前作もきれいな曲がいっぱい詰まっていたが、やっぱりこの人はオリジナル曲の方がずっと良いと思う。彼のギタースタイルにあったメロディラインというのがたぶんあり、それが生かせるのは彼自身の作り出したメロディなのだろう。DADGADやオープンDを中心とした変則チューニングしか使わないのも、その一因かもしれない。彼の紡ぎ出す音は堪らなくきれいでクリヤーだ。タッチ、個々の音の延ばし方、メロディの引き立て方などの技術は、同じソロギタースタイルで食っている人の中でもトップクラスだと思う。
 1『Happiness』はアルバムの最初の曲らしく、アップテンポなノリの良い曲。3フィンガーの合間に絡ませたメロディの歌わせ方はさすがだ。同じく3フィンガーが印象的なのは8『Convertible』。運動会の練習中に爽やかな風に吹かれて空を見上げているような印象のきれいな曲だ。7『Dandelion』は郷愁を誘わせるような切なさを持ちつつも、爽やかなメロディが光る。ゆったりと時間をかけて昔の想い出を呼び覚まさせてくれる5『遠い記憶』もいい。3『Time Travel』はミュートしたベースにきれいなメロディの乗った佳曲。11『November』は北海道の感覚からすると9~10月といったイメージで、夕焼けのきれいな暖かい日に川縁から豊平川を眺めているような感覚に陥る。そして最後の12『Thank you for ・・・』はシンプルながらきれいな曲で個人的に好きな曲だ。

 これだけの記事の中に「きれいな」という修飾語を何回も使ってしまったが、本当に彼の曲はきれいなのだからしょうがない。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。