『ロジカル・シンキング』照屋 華子、岡田 恵子

 東洋経済新報社。副題は「論理的な思考と構成のスキル」。
 わかりやすい。それほど多くのことを詰め込んでいないので、ポイントがつかみやすい。例題が実践に即しているので受け入れやすい。あと、個人的にこの本の文体が好きだ。というわけで、ロジカルシンキングの入門書として選択肢に入れていい本だと思う。
 ポイントは多くない。2つの技術を習得すれば、ロジカルシンキングは可能だと本書は述べる。横糸としての「MECE(ミッシー)」、縦糸としての「So What?/Why So?」。この2つが著者の言う「論理的に思考を整理する技術」である。そして「並列型」と「解説型」という2つの「論理的に構成する技術」。基本的にこれらのことしか本書では説明していない。それで十分だからだ。しかしここで、本書でも触れられている、もうひとつ重要な論点を示しておきたい。それは、相手に伝えるべきメッセージが本当に相手の問いに対する答えになっているのかどうか、ということだ。これはごく基本的なことだが、この時点でずれてしまっているコミュニケーションがビジネスの現場でよく見られるという。実はこの問いと答えの関係に注意するだけで、多くのコミュニケーションがうまくいくのではないか、とさえ感じた。
 ここで簡単に用語の説明だけをしておく。「MECE」は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、互いに重なりが無く、漏れがない、ということだ。話の重複・漏れ・ずれを防ぐために用いられる。「So What?/Why So?」は、論理の下部から上部に向かって「それでどうなの?」と問い、上部から下部に向かって「何でそうなの?」と問うことで、話の飛びをなくすことである。「並列型」とは事実等をMECEに並べることによって結論を導き出すことで、「解説型」とは、ある判断基準を設けて、事実から判断を導き出すことである。
 この本で残念に感じたのは、本文中の問題に解答が載っていないことだ。私のような独習者にはちょっと辛い。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。