シェーグレン症候群についての記事から

 2009年11月21日の日経PLUS1(日本経済新聞の土曜日版に折り込まれてくる)の15ページに、シェーグレン症候群についての記事(「目や口、肌の乾燥もしや病気のサイン?」)が載っていたので、気になる点だけ記しておきたい。
 まず1点目は、ドライマウスの治療に、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」という漢方薬が有効だということがわかってきたこと。これは特に詳しく述べる必要はないだろう。
 もう1点は、「最近ではシェーグレン症候群特有の抗体を減少させる新薬が欧米で開発されて効果を上げている」ということ。このことについては少しコメントしたい。
 シェーグレン症候群特有の抗体とは、おそらく抗Ro/SS-A抗体か抗La/SS-B抗体のことを指すのだと思われる。ところで、シェーグレン症候群はドライアイとドライマウスを主症状とする疾患である。この二つは、涙腺や唾液腺が自分のリンパ球によって破壊、あるいは麻痺させられることによって現れる症状だと考えられている(だから自己免疫疾患のひとつである)。リンパ球は、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞などからなるが、ここで問題となっているリンパ球はTリンパ球であることが観察によってわかっている(Bリンパ球も少数だが存在しているので、断言するのは間違いかもしれないが)。さて、抗体を産生するのはBリンパ球である。だから「欧米で開発されて効果を上げている」新薬はBリンパ球に対して何らかの作用をするものと考えられる。とここまで書いてみて、私が間違っているかもしれないと思ってきた(私は抗体を減少させたからといって病状が良くなるとは言えないじゃないか、と書こうとしていた。それが間違っているかもしれないということだ)。さらに先を続けよう。Bリンパ球に抗体産生の指示を出すのはヘルパーTリンパ球である。ヘルパーTリンパ球はキラーTリンパ球に対して、抗原を攻撃するように指示したりもする。ということは新薬はヘルパーTリンパ球に対して何らかの作用をするということだろうか。だとすると、新薬によって涙腺や唾液腺へのリンパ球の浸潤が抑えられるという可能性も出てくる。これによってドライアイとドライマウスの症状が改善するというわけだ。
 また、次のようにも考えられる。シェーグレン症候群の症状には、上で挙げた外にも疲労や肝機能障害といった全身症状も存在する。新薬はこれらに対して効果があるのだとも考えられる。
 残念ながら新聞の記事だけからは詳しいことはわからない。今上でやってみたように想像することができるだけだ。とはいえ、病気の治療法が増えたり病気の機序がわかるということは、それだけで嬉しいことだ。今後の研究に期待したい。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。