『うつで困ったときに開く本』香山リカ

 朝日新書。
 本書全体はQ&A形式でまとめられている。決して鬱病を系統立てて論じた本ではない。香山曰く、「パーティー会場の片隅で語るうつ病」という体裁である。この辺で変な期待さえ抱かなければ、十分に役に立つ本だと思う。
 自分が鬱かな、と思ったとき。周りの人が鬱らしいけどどうしたらいいんだろう、と思ったとき。鬱病について何も知らない人が、鬱という病をざっと眺めてみるのにはまあまあの本じゃないかと思う。とてもわかりやすい。そして、今現在鬱について何がわかっていて何がわかっていないのかがきちんと書いてある。鬱を貶(おとし)めることもなく、鬱を変に神聖化することもない。ただ、もしかするとそのせいで香山は優柔不断だと思われる人もいるかもしれない。でもたぶんそんなことはない。実際、鬱病はまだまだわからないことの多い病気なんだろうと思う。
 私が個人的にポイントかな、と思ったのは、鬱病には「心理的な要因」と「生物学的な要因」があるという点だ。鬱病というと心理的な要因しか脳裏に浮かばない人が大勢いるが(私の周りにも)、実は生物学的な要因も大きいのだ。これは鬱病の原因が脳内の神経伝達物質の機能的不足にあるということである。だからこそ抗鬱剤というものが効くのであり、間接的には休養が大事だ、という話にも繋がっていくのだ。
 本書は、鬱病についてよく知っている人にとっては、物足りなく思ったり、内容が偏っていると思うかもしれない。でも、鬱病について困っている人、鬱病を怖がっている人には是非、この本に限らず、こういった感じの本を読んでみてもらいたい。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。