『高校数学でわかるフーリエ変換』竹内 淳

 講談社ブルーバックス。副題「フーリエ級数からラプラス変換まで」。
 フーリエ級数とフーリエ変換は、任意の関数をサインとコサイン(いわゆる三角関数)で表現してしまおうというもの(複素形式のフーリエ級数とフーリエ変換は一見ただの指数関数に見えるけど、オイラーの公式から結局は三角関数と同等)。ラプラス変換はフーリエ変換とは違う思想に基づいた変換だけれど、このラプラス変換を使うと微積分方程式が簡単に解けるようになるので便利。どちらも物理学や電子・電気工学、制御工学を中心にいろいろな分野で活躍している変換である。と言っても理工系を志している人以外にはさっぱり何のことかわからないと思う。哲学以上に取っつきづらいかも。
 それはさておき、本当に高校数学でわかる。具体的には、微分積分の基本的なところを理解していれば、この本にはついて行ける。「おわりに」に、「ブルーバックス史上、(公式集などを除いて)最も数式が多いかもしれない」と書かれているが、逆に言えば、式の導出などがそれだけ丁寧になされているとも言える。クイズを解いているみたいで、頭の体操にちょうど良い。
 41ページ目にして早くもフーリエ級数の公式が導出されてしまって、あとは何があるんだろうと思ってしまったが、私の知識が浅薄だった。複素形式への拡張や、光ファイバー技術などの様々な応用について、ページが割かれている。学校で教わることなんて社会に出て何にも役に立たない、とはよく聞く辯(べん)だけれど、身の回りで使われている多くの技術は学校で学ぶ知識(や考え方)が基礎になっている、という極々当たり前のことを教えてくれる。
 (理系の人にとっては)本当にわかりやすく書かれているので、フーリエ変換でつまずきかかっている学生や、今ひとつ納得しきれずに社会人になってしまった人には最適の本だと思う。私の今後の人生に使うかどうかは別の話だけれど(教養書なんてそんなものだ)。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。