『世界でもっとも奇妙な数学パズル』ジュリアン・ハヴィル

 青土社。Julian Havil。松浦俊輔、訳。
 手ごわかった。何箇所か理解できないところがあった。たぶん高校数学ですべてを理解するのは無理(習わない記号が説明抜きで出てくるから)。それだけに、数学マニアの人々なら楽しめるのではないかと思う。身の回りにある出来事から拾ってきたパズルから、純粋に数学的に不思議なパズルまで、全部で18のパズルが紹介されている。
 純粋に数学的なものとしては、数えられる無限と数えられない無限の話、調和級数、オイラー級数、べき乗のべき乗、グッドスタイン数列、バナッハ=タルスキーの逆説といった話題が取り上げられている。
 もっととっつきやすい身の回りから拾ってきたパズルとしては、次のようなものがある。モンティ・ホール問題(記事「『ベイズな予測』宮谷隆」で過去に説明しています)や、トランプマジックのネタばらし。ある道路網に抜け道を1本作ったとたん渋滞が発生してしまう話(逆に言えば、渋滞している道路のうち1本を通行止めにしたら渋滞がなくなる、ということ)。ある人間集団をAとBに分け、それぞれの集団の薬の効果は新薬Xの方が新薬Yよりも高いのに、それを合計して計算した効果は新薬Xよりも新薬Yの方が高くなる、というシンプソンの逆説。ビルの下の方でひとつのエレベーターを待つとき、上からエレベーターが来る確率の方が下から来るよりも高くなるのに、エレベーターの数が増えると、どちらの確率も同じになってしまう、という話。トランプのポーカーの手は、作りづらい手の方が強くなるようになっているのに、ワイルドカード(ジョーカー)を入れると、作りやすい手の方が強くなってしまうという現象。
 このように、いろいろと興味深い話題にあふれている。そして実際に面白い。でも読みこなすのは苦労するので、ご注意を。

amazonで見てみる

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。