『欧文活字』髙岡 重蔵

 烏有書林。
 ハガキよりもほんのちょっぴり大きいだけの、とても小さな本。欧文活字や組版に対する厳しい態度の中にも、著者のつくる図版には遊び心も含まれていて、思わずにやけてしまう。
 もともとこの本は、1948年に印刷学会出版部から発行された『工場必携シリーズA4 欧文活字』というものだった。印刷工場で働いている人向けに書かれたものだ。それを何度か復刻を繰り返し、図版等も新しくして、このような形で改めて世に出ることとなった。本書に書かれていることはごく基本的なことなのかもしれないが、とても大事なポイントをしっかりと押さえているように感じた。活字の構造から、書体の説明、使い方まで。例として挙げられている書体はどれも今も使われているもので、古さはまったく感じない。内容もまた、古臭さを感じさせないところがすごい。付け足しの話題ではあるが、著者が相談役を務めている会社、嘉瑞工房のこともちょっと知ることができる。
 ただひとつだけ不満を挙げるとすれば、「新装版刊行にあたって(雑談より)」の中の高岡の談話は載せなくてもよかったんじゃないかな、と思う。内容的には面白いものがあるが、この本の他の部分から浮いている。せめて口語体をそのまま載せるんじゃなくて、きちんと編集しなおせばよかったのに。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。