『VOICE』上原ひろみ

 2011年。ベースにアンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson)、ドラムにサイモン・フィリップス(Simon Phillips)を迎えての、久々のトリオ構成。
 聴いてすぐにそれとわかる彼女のピアノ。ときには力強く、ときには優しく美しく奏でられる旋律。それに負けないくらいに心を揺さぶるリズム。それをしっかりとサポートするベースとドラム(特にサイモン・フィリップスのドラムがすごい)。3人がそれぞれに主張を繰り返しながらも、渾然一体となり、ひとつの作品、すなわちこのアルバムを作り上げている。よく聴くとテクニカルな曲構成と演奏技術にびっくりもするのだけれど、普通に聴く分にはそれらを微塵も感じさせずにさらりとやってしまっているのがすごい。
 ぐいぐいと押しまくる1「Voice」や6「Desire」のような曲に混じって、ちょっとおどけたような3「Now or Never」や、高音の響きの美しい幻想的なピアノソロ曲7「Haze」などの曲もあり、飽きさせない。そして最後には9「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8章《悲愴》第2楽章」の美しいアレンジで、アルバム全体をしめやかに締めくくる。やっぱりこのアルバムは全部を通してひとつの作品なんだ、という印象を強く受ける。
 上原ファンにとってもそうでない人にとっても必聴アルバムだと私は思う。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。