『フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展』Bunkamuraザ・ミュージアム

 2011年3月3日~5月22日。もう会期は終わっているけど、このあと愛知県豊田市美術館にて巡回展を開くようです。
 題名のとおり、フェルメールの描いた『地理学者』を中心にした展覧会。ドイツ、フランクフルトにあるシュテーデル美術館所蔵の作品を取り上げている。フェルメールの作品の中で、男性の単体像は少ない。この『地理学者』の他には『天文学者』くらい。『地理学者』は左手の窓から差し込む明かりに向かって、コンパスを持つ男性が顔を上げているところを描いている。フェルメールの他の作品と同じく柔らかい光に満ちており、ものすごく穏やかで、静寂すら感じる。この絵画世界の中に入り込みたいと思うほど魅力的で豊かな空間が、縦横50センチメートル四方ほどの小さな平面に表現されているのは驚きだ。この展覧会の冠になっているのに恥じない、すばらしい作品である。フェルメールはやっぱりいい。
 他の展示作品で気に入った作品を挙げてみたい。
 室内画では、少し荒さを感じるが空間構成の巧みさが光るピーテル・ヤンセンス・エーリンハの『画家と読みものをする女性、掃除をする召使のいる室内』、すっきりとして洗練されたイメージを醸し出すピーテル・コッドの『演奏家たち』がいい。
 人物画では、フランス・ハルスの『男の肖像』、ニコラース・マースの『黒い服の女性の肖像』が魅力的だった。
 静物画では、透明感のある質感が見事な次の4作品を紹介したい。アブラハム・ミフノンの『合金の盆の上の果物とワイングラス』、ピーテル・ド・リングの『果物やベルクマイヤー・グラスのある静物』、ハルメン・ルーディングの『苺の入った中国製の陶器とレーマーグラスのある静物』、ペトルス・ウィルベークの『ヴァニタスの静物』。
 最後に風景画。アールベルト・カイプの『牧草地の羊の群れ』、『運河の風景』は純粋に好き。ヤーコプ・ファン・ロイスダールの5作品は叙情的な雰囲気がたまらなくよい。さすが、という感じ。ヤン・ファン・オスの『静かな海の上の小船と帆船』はすっきりとしていてきれいな作品。遠近法の消失点と光源の位置をうまく合わせて、レンブラントの風景画バージョンのような雰囲気すらあるアールト・ファン・デル・ネールの2作品、『漁船のある夜の運河』、『月明かりに照らされた船のある川』はうまい。
 たまにこうして美術作品に囲まれた時間を過ごすのはよいものです。

Bunkamuraザ・ミュージアム』東京都渋谷区道玄坂2-24-1(地図

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。