2011年。スピーチレス。
静寂の中、ステージにスポットライトが当たり、音楽が流れる。音が立体的に配置され、そこに奥行きと空間が生まれる。闇の中から音楽が立ち上がる。
ライブ音源を元に慎重にノイズを取り除いて作られたのがこのアルバムである。ヒートウェイヴのメンバーである山口、細海が二人で作り上げたアルバム。細海のキーボードに山口のギター、ヴォーカルが重なる。限りない透明感が作品全体を覆っている。ジャケットに曲名は書かれていない(そういえば前作『land of music』にも曲名が書かれていなかった)。個々の楽曲に囚われるな。ただ、このライブに耳を澄ませ。そう叫んでいるかのようだ。無骨で野性的なヒートウェイヴの音を期待していると肩透かしを食らうかもしれない。それほど今までのアルバムとは違う音で満たされている。
でも、いい音だ。