『HoSoNoVa』細野 晴臣

 2011年。
 「ホソノ場」であり、ボサノヴァならぬ「ホソノヴァ」でもあるこのアルバム。全曲ヴォーカルというのは、『HOSONO HOUSE』(1973年)以来。あのときのようなインパクトはないけれど、そのときにはなかった老練なる安定感がある。カヴァー5曲、オリジナル7曲の構成なのだが、すべてが細野晴臣の音楽になっている。ギターとベースを基軸としながらも、アコーディオンやマンドリンなどが絶妙に絡んできて、細野の朴訥(ぼくとつ)とした声がそれら全体をとりまとめている、という感じ。どの曲も気に入っています。
 題名からはボサノヴァのアルバムかとも思ってしまいそうだが、実際にはボサノヴァ風の曲4「Rosemary, Teatree」(リズムの基本はルンバだけど)があるくらいで、ほとんどの曲は、大きな括りでポップスということなんだろうと思う。
 このアルバムは、どこかヨーロッパの海辺の街に誘(いざな)ってくれそうな1「Ramona」から始まる。ワルツのリズムを刻むギターがいい。チャップリンの『モダン・タイムス』からの2「Smile」も異国情緒に溢れている。3「悲しみのラッキースター」は、スキップしたくなるような軽快なポップ。ベースとアコーディオンが織りなすリズムが心地よいのは、5「ただいま」。6「Lonesome Road Movie」、7「Walker’s Blues」は『HOSONO HOUSE』に入っていてもおかしくないような懐かしい感じの曲。いいですね。8「バナナ追分」はCoccoの声の絡みが妙にはまっていて、いい感じ。9「Lazy Bones」、10「Desert Blues」は、どちらも素敵なブルースです。11「Kimona Girl」(カモナ・ガールと読む)もブルースなのだが、邦楽旋律を使った、頽廃ムード満開の異色なブルース。最後を締めるのはプレスリーからの12「Love Me」。このアルバムでは異質な雰囲気を持っているが、アルバムを締めくくるのにはぴったりなのかもしれない。
 以上、(私のブログでは珍しく)全曲駆け足で紹介してみました。ホソノワールド、いかがでしょうか。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。