『Palermo Snow』John Renbourn

 2011年。ジョン・レンボーン。基本的にはギター・インストだが、時にクラリネットなどが絡む。
 シチリア島のパレルモに何十年かぶりに降った雪。それを題材にした標題曲1「Palermo Snow」は、クラリネット(私にはフルートに聞こえる部分もあるのだが、アルバムにフルートの文字はない)の音も影響して、かなり怪しげな雰囲気を醸し出している。それほどまでに、このときの雪は人々の心を不安げにさせた、あるいは落ち着かせなかったというのか。雪は楽しいというイメージがあるので、不思議な印象のある曲。9「Little Niles」も似たような雰囲気を持つ曲。
 シューベルトが好きだったという人のために作った2「Dery Miss Grsk」は、クラシカルな空気を感じさせるきれいな曲だ。シシリー島での想い出をつづった3「Bella Tera」も美しく、これら二つの曲は私のお気に入り。ちょっとカントリーチックで、でも同時にモダンさも兼ね備えている8「Weebles Wobble(but they won’t fall down)」もかなり好き。同じ系統の、楽しげながらも少し憂いのあるラグタイム5「Ugly James」や、陽気なカントリーの10「Blueberry Hill」も悪くない。
 クラシック由来のものが2曲ある。エリック・サティの「3つのサラバンド」からの第1番、6「Sarabande」。これはコードヴォイシングに注目をおいた感じで演奏されている。そしてさらりと軽い感じに仕上げた、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調第1楽章(長い・・・)からの7「Cello Prelude in G」。どちらもそんなに悪くはないが、前者はやっぱりピアノの原曲の方が好きだし、後者はカザルスの弾く重厚なチェロの方がよい。思うに、クラシックの曲を原曲に比較的忠実になぞったカヴァーは、なかなか元の曲を超えられないのかもしれない。もちろんすてきなカヴァーもあるのだけれど(押尾コータローの「ボレロ」や、渡辺香津美の「Courante from Suite for Unaccompanied Violincello No.1 BWV 1007」(無伴奏チェロ組曲第1番ト長調第3楽章)は、私の好きなギターアレンジです)。
 このアルバムは年季の入った味とでも呼べるようなものを感じることができる作品である。ジョンの力なんだろうなと思う。ただ、全体的にややくぐもった音で録られているのが気になった。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。