『文字の骨組み』大熊 肇

 彩雲出版。副題「字体/甲骨文から常用漢字まで」。
 すごい本です。小学校で漢字やひらがなを習い始めてから今まで文字について疑問に思っていたことが、こんなにも解決されるとは思っていなかった。「北」という字の左側の縦棒は下に出るのかどうか。「保」の右下は「木」なのか「ホ」なのか。活字のしんにょうはなぜあんな形をしているのか。「わたなべ」さんの「なべ」はいったい何であんなにたくさんの異体字があるのか(著者が数えたら45字もあったらしい)、などなど。枚挙にいとまがない。
 例示される文字の種類がものすごく多い。金文や甲骨文字、正統字体である説文解字(せつもんかいじ)や康煕字典(こうきじてん)の字、王羲之(おうぎし)や欧陽詢(おうようじゅん)、空海などの書家の書いた字、いろんな時代の篆書、隷書、楷書、行書、ヒラギノやモリサワのフォント、文部省活字、当用漢字表、常用漢字表の字・・・。漢字がどのようにできてきたのかが一目でわかる。
 一番目から鱗だったもの。それは当用漢字表や常用漢字表の字に、新しく作った字が一字たりともない、ということ。え、新字体、旧字体っていうではないか。これについても詳しく解説している。上記漢字表の字は正字体ではないかもしれないが、手書きや通用体としてきちんと使われてきた字を採用したものだというのだ。「当用漢字字体表は、書き文字を本当によく調べて作られている」という。ひとつの漢字にひとつしか書き方(形)がない、という考えはナンセンスなのだ。これまでこれらの字体表に対する批判をいくつも見てきたが、的を射ている批判は意外に少ないのかもしれない。
 ここにあげたもの以外にも、将棋の歩兵の裏はなぜ「と」なのか、など、興味深い話題がたくさん取り上げられている。日本の文字について興味のある人は是非手に取ってみてほしい。おもしろいこと請け合いです。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。

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