『Leave Your Sleep』Natalie Merchant

 2010年。ナタリー・マーチャント。
 2枚組26曲の大作。小さな娘に読み聞かせてきた詩や物語を歌詞にしている。元になった詩は18世紀から20世紀にかけて作られた、主にイギリスやアメリカの詩人たちによるものだ。無名の詩人もいる。ディスク1、2それぞれのタイトルである「Leave Your Supper」、「Leave Your Sleep」も、マザーグースの一節から採られている。アルバムには分厚いブックレットがついてきていて、それぞれの詩の内容やそれらを作った詩人について、詳細に解説されている。だからおそらくこのアルバムの主役は歌詞にある、と彼女は考えていたのだと思われる。
 とはいえこのアルバムの音楽性には目を見張る。彼女は元々「10,000 Maniacs」というフォークロックグループのヴォーカルだったから、基本的にフォークロックの歌い手だった。でもこのアルバムはそれだけにとどまらず、ブルーグラスやジャズ、ケルティックなど実に様々なジャンルの曲が詰まっている。二胡を使った中国風のものまであるのだ。それがとってつけたような音楽ではなくて、しっかりと彼女の中で消化されて作られたものであることがうかがえる、すばらしいものに仕上がっている。抑制の利いた彼女の心地よい歌声をバックで支えている伴奏の安定感もすごい。
 どの曲もいいのだが、特に好きなものを挙げるとすると、1-4「Bleezer’s Ice-Cream」、1-8「The Man in the Wilderness」、1-9「maggie and milly and molly and may」、1-10「If No One Ever Marries Me」、2-10「I Saw a Ship A-Sailing」だろうか。挙げすぎですね。

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shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。