『Sketch』中川 イサト

 2011年。『Real Thing』(2005年)以来6年ぶりのソロギターアルバム。
 2006年の『Acoustic Paradise』は?と思って調べてみたら、こちらは丸山ももたろうとのデュエットだった。『Acoustic Paradise』は少し華やかな感じだが、今回のアルバムは少ない音数で丁寧につくられた印象を持つ。以前よりもどんどん無駄な音がなくなってきたように感じる。ストロークを使った楽曲はなく、すべて丁寧に爪弾いている。中川のギターの音はこれまでもずっとそうだったように、生音という感じはなく、ライン録りの独特の音色があって、それがまたいい味を出している。ベースとメロディだけのシンプルな構成のものばかりなのに、なぜか深みがある。中川自身、今回のアルバムは「和」のサウンドを目指しているというが、それが十分に表現されていると思う。
 1「Hazy Moon」、2「加壽帝羅2011」、5「Blue」、8「ヴェルビエ」なんかは、決して和をテーマにしたわけでもないが、マイナー調の渋い感じが出ている。オルタネイティングベースにメロディを乗せた明るい曲調の3「Little Horse」もいい。ストリング・ベンダーという特殊装置の付いたギターを使ったという4「黄昏の来々軒」はギターが泣いている。2008年に亡くなったアーティ・トラウム(Artie Traum)を意識してつくったという7「Blues For A.T.」はジャズブルース系の素敵な曲。ぽかぽかと暖かい夕暮れの公園にいるかのような雰囲気の9「とわいらいと」もいい。「最終列車」というには明るいイメージの10「Last Train」は新たな世界に向かう希望を感じさせたのだという。そしてアルバムは、空の高い秋空をイメージさせる11「蒼空」で幕を閉じる。
 私は好きなアルバムですね。派手さはないが、よいアルバムだと思う。

amazonで見てみる

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。