『コーヒー「こつ」の科学』石脇 智広

 柴田書店。副題「コーヒーを正しく知るために」。
 コーヒーを上手に淹れる「こつ」が書いているわけではない。だから深煎りのマンデリンをおいしく淹れるためには、何度くらいのお湯でどれくらいの時間をかけてどうやって淹れたらいいのか、なんてことはこの本には「直接は」書いていない。ただし、どうやって考えてコーヒーを淹れれば、自分にとっておいしいコーヒーに近づけられるのか、ということはわかる。でも本当は、この本がいいたいことはそんなことではない。これは単なるハウツー本ではなくて、コーヒーに関する事柄全般をよくわかってもらうために、科学を交えて丁寧に説明している本なのだ(と思う)。
 コーヒー豆ってどうやってできるのか。その生産から流通。そして焙煎や抽出の話。コーヒーの成分の話。コーヒー豆の種類や地域による違い。その他諸々を、全部で87のQ&Aで答えてくれる。コーヒーにはいろんな迷信がつきものだけれど(例えば深煎り豆は浅煎りに比べてカフェインが少ない、だとか)、科学的にはどうなのか、筆者の考えを知ることができる。どこまでが今の科学で説明できて、どこからがわかっていないのか。その説明は謙虚ながらも説得力がある。しかもわかりやすい。
 よい本だと思う。筆者の姿勢に好感が持てる。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。