『古文の読解』小西 甚一

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 ちくま学芸文庫。
 本書は大学入試向けの参考書である。この文庫版は2010年に出たものだけれど、元の初版は1962年のものだ。でも色褪せてはいない。おもしろい。500ページちょっともあるので最初は読み通せるか不安だったけれど、すんなり読み切った。読み物としても楽しめるのだ。平安時代の暮らしから始まり、文学史をざっと眺めて、文法や解釈のキモ、俳句や和歌まで、幅広く扱っている。幅が広いので、そんなに深いところまでは攻め入っていないけれど、ポイントはしっかりと押さえている(ように感じた。古文が苦手な私が言うのもなんですが)。英語を取り混ぜた説明なんて妙に納得させられる。著者も述べているように、古文のすべてをこの本一冊で読み解けるようになるなんて無理な話で、良質の古語辞典と(豊富なテキストという意味での)教科書は欠かせない。でもこの本を読むと、古文の読み方みたいなのがわかってくる。高校の時に出会っていたらな、と思う。
 初学者向けではない。ある程度古文を勉強した人を対象としている。一通り勉強したもののなかなか点数に結びつかない人、そんな人がいい。高校2年の夏頃に2、3回読んでみるのがいいんじゃないだろうか。また、古文が得意な人でもおもしろく読めると思う。目から鱗の話題にいくつか出会えるはずだ。 そしてこの本を読んだあとは、たくさんの古文に触れること。それも大事だ。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。