『猫背の目線』横尾 忠則

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 日本経済新聞出版社。日経プレミアシリーズ。
「嫌なことはしない、好きなことだけをする」という生き方を基本路線に据えながらも、それだけにはとどまらない横尾によるエッセイ集。決してうまいとは言えない文章なのだが、そのちょっとクセのあるところがまた、なかなかに味があって、等身大の著者の姿がよく表れている。横尾はもちろん有名な美術家であるが、このエッセイ集では大上段に振りかぶったような芸術論なんてものはまったく出てこなくて、気取らない感じの日常がつづられている。『病の神様』という本を出すほど病弱な彼の言葉は、病気との向き合い方を教えてくれる。体が弱くてもあれほどの芸術活動ができるのだと思うと、勇気づけられる。本当に素朴で飾り気がないのに、妙に引き込まれてしまう不思議な文章。

 本文とは全然関係がないのだが、ひとつひとつのエッセイのタイトル文字が絶妙に字間調整されていて、つい見入ってしまった。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。