『リラクセーション』成瀬 悟策

 講談社ブルーバックス。副題「緊張を自分で弛める法」。
 たぶん一般に、緊張という言葉には2種類ある。体がかたくなってかちかちになっている身体的な緊張。そして、緊張した、とか、あがってしまった、とかいう場合の心理的な緊張。著者によると、この場合の心理的な緊張も、実は心が緊張しているのではなくて体が緊張しているのを、心がそう感じているだけだという。そしてこの本ではもっぱら、体の緊張を(物理的に)自分でどうやって弛めていけばよいのか、ということについて述べている。だから自律訓練法などのように心から体にアプローチするというよりは、体そのもののリラクセーションを直接に扱ったものといえる。
 40肩や50肩、肩こり、腰痛といったものは、すべて体の不当な緊張からきているという。これをどのように弛めていけばよいのか、写真や図を絡めながら丁寧に説明している。例えば40肩の場合、だらりと垂らした腕を体の前側を通って上まで挙げることはできなくなっている。それをいかにして上まで挙げられるようにするか。その過程での本人の意識の持ち方、補助者の役割、そんなことを解説する。手から腕、肩、腰、足まで、全身を扱う。それらの弛め方は、ストレッチングやヨガともつながる部分があるが、それそのものではない。しかし、ストレッチングやヨガを行うときに、著者のいうような意識を持つことは実は効果的なことなのではないか、と感じる。
 おもしろいことに心と体はつながっている。阪神大震災の時の被災者が、すっかりかたくなってしまった体を弛めることで、心理的にも前向きになったりした例があるそうだ。そんな実践を重ねる著者は、もともとは心理学の先生である。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。