山川出版社。以前高校の教科書として使われていた『日本の歴史(改訂版)』を、一般読者向けに書き直したもの。
私は高校時代歴史を選択しなかったので、改めて日本史を学ぶつもりで本書を手に取った。ある種の期待を込めて。
なるほど確かに一般読者向けということもあり読みやすい。でもやっぱりこれは教科書なんですね。史実の列挙という印象は免れない。それぞれの出来事なり事件の裏にどういう事実(あるいは心の動き)が隠されていたのか、それはほとんど書かれていない。歴史の面白さはこういったストーリー性にあると思うのだけれど、それはサブノートとか資料集の方に書かれているもので、教科書の方には載ってこないということなのだろうか。そういえば高校時代に学んだ倫理、政治経済、地理の教科書も面白いものではなかった。
ただ、知識の整理にはいいと思う。また、本書の中で興味をひかれた史実を他の本を読むことによって深める 、みたいな導入図書的な位置づけとしてもいいかもしれない。
親切だな、と思うこともあった。歴史は変わるんですね。中学の時に習ったことと違うことが書いてあるわけです。そんなとき、昔はこう言われていたけれど、これこれこういう理由で今はこうなっている、というように説明してくれている。この点はいい。この本の記述は、現時点で信頼に足るものだという証拠だと思う。
蛇足です。私は史実を覚えるつもりでかなりじっくりと読んでいったのだが、それができたのも明治維新まででした。そのあとはぐちゃぐちゃでややこしくて、ついていけなくなりました。