『常識として知っておきたい「美」の概念60』城 一夫

 パイインターナショナル。
 西洋編と日本編に分かれている。西洋編では、「ヘレニズム」「ロマネスク」「ゴシック」「ロココ」「エコール・ド・パリ」「アール・デコ」など46の概念、日本編では、「枯山水」「幽玄」「わび」「さび」「萌え」など14の概念が取り上げられている。各ページには多くの写真が掲載されていて、それぞれに解説が付いている。ひとつの概念に2~4ページを割いている。
 こういうコンセプトの本の出版を待っていた。でも期待が大きかっただけに不満も大きい。例示されている作品は、すべて画像を掲載してほしかった。概念を説明するのに作品例をいくつも並べていることが多いが、イメージがつかめない。それを掲載するためにページ数が増えたって、本の大きさが大きくなってもいいではないか。あと、人名などには、索引にでもいいから、ローマ字綴りがほしい。そして、これは個人的な好みかもしれないけれど、美術の本なのにレイアウトや組版が見る人にやさしくなくて読みづらいと思う。取り上げられている概念が欧米と日本だけに限られているのも気になる。ほかの地域にも「美」は存在しただろうに。
 西洋編と日本編では、後者の解説の方が断然おもしろい。著者は日本人だから、日本についての理解の方があるということか。西洋編と日本編を分冊にして、内容をもっと充実させたらよかったのに、と思う。
 この本は辞書的な使い方をするのがいいんじゃないかと思う。いろいろ不満はあるけれど、美術や文化の理解には役に立つ。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。