『サウンドとオーディオ技術の基礎知識』坂本 真一、蘆原 郁

 リットーミュージック。「音楽が10倍楽しくなる!」と書いてある。
 著者は音の専門家である。しかしミュージシャンでもレコーディングエンジニアでもミキシング/マスタリングエンジニアでもない。浮き足だった話はしない。徹底して事実に即した科学的な説明をする。
 音とは何か、人の聴覚はどうなっているのか、レコードやテープレコーダーといったアナログのオーディオ技術の仕組みと歴史、デジタルオーディオの仕組み、そしてそれらの応用として、リスニングルームの科学、自宅録音派のための音響学まで。
 サウンドとオーディオというと、ついオーディオ機器の方ばかりに目が行きがちだけれど、実は耳はそれと同じくらい重要だという見逃しがちな事実を教えてくれる。そしてこの本は、基礎をきちんと教えてくれているのがいい。対数や三角関数が出てくるので数学や物理の嫌いな人にはつらいかもしれないが、私は逆にそこの部分を隠さずに解説してくれるのがうれしい。これがあるのとないのとでは、納得の度合いが違う。今まで雰囲気でしかわからなかったことが、確かな知識になる。
 おもしろい豆知識にも事欠かない。レコードの始めの方の曲と終わりの方の曲とでは音質が違うことなんて知らなかったし、部屋でひとりで音楽を聴いているときと4、5人の友達と一緒に聴いているときでは音の聞こえ方が違うなんて、考えたこともなかった。
 サウンドとオーディオについてきちんと知りたい人には、きっと役に立つだろう。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。