『JUNIOR』Kaki King

 2010年。カーキ・キング。5作目のアルバム。
 ものすごくロックなアルバムになっている。これまではなかった。といってもバリバリにロックしてる曲は半分弱。『The Betrayer』、『Spit It Back In My Mouth』、『Falling Day』、『Hallucinations From My Poisonous German Streets』、『Death Head』くらいなものだ。でもこれらの印象がそのままこのアルバムの雰囲気を決めている。本人のヴォーカルの入った曲も多い。3作目の『Until We Felt Red』あたりからヴォーカル作品がちらほら見られるようになったが、今回のようにギターよりもヴォーカルが中心となったアルバムは初めてだ。カーキ・キングといえば愛器のオヴェーションを手にして超絶ギターを弾きまくるイメージがあるが、このアルバムではそんなイメージを封印して、インストルメンタルであっても技巧を前面に押し出すようなことはしていない。
 カーキ・キングの声はちょっと幼い。歌も決してうまくはない。でも『The Betrayer』なんて結構はまっていると思うし、どう聴いてもカーディガンズ(The Cardigans)にしか聞こえない『Communist Friends』でも声は合っていると思う。スキャットみたいに入れている『Sunnyside』なんかは以前から試みているヴォーカルの手法だ。日本盤ボーナストラックである『 I’ve Enjoyed As Much As I Can Stand』は私好みの曲。ただ、やっぱりギターの音のほうが圧倒的に魅力的ではあるのですが。

 このアルバムには付録のDVDがついていて、これがすごくいい。「Live in Concert from the Berkeley Sessions in Toronto」から8曲、40分ほどのライブビデオが収められているほか、6曲分のミュージックビデオが収録されている。ヴォーカル曲はまったくなくて、今アルバムからの曲もまったく入っていない。このDVDを手に入れるためにこのアルバムと同じ値段を出してもいいと思えるくらい、本当にいい。特にライブ映像が最高です。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。