『巨匠たちの英国水彩画展』Bunkamura ザ・ミュージアム

 2012年10月20日〜12月9日。マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵の、18世紀から19世紀終わりまでに描かれた水彩画を集めた展覧会。J.M.W.ターナーの作品が多いが、それ以外にもラファエル前派やヴィクトリア朝時代のものまで多く取り上げられている。
 まず感じるのは、とても細かくて写実的だということ。眼前に広がる風景をそのまま紙に写し取ろうとしていたのかもしれない。風景画が多いのは、水彩という手法をそういう企図として使用したためなのだろう。そして、水彩(透明水彩)絵の具のほかにガッシュ(グワッシュ、不透明水彩)を一緒に使っている絵が多いのも興味深かった。ガッシュを使ったものは少し油絵っぽい雰囲気が出るようだ。
 150点以上の作品が展示されており、そのひとつひとつにそれぞれの良さを感じたが、その中でも気に入ったものについてちょっとだけ紹介したい。ジョン・ブレットの『川辺の景色、オックスフォードシャー州ゴーリング=オン=テムズ付近』は、写真のようなシャープさを感じた。鮮やかな色が印象的だったのはジョン・マーティンの『マンフレッドとアルプスの魔女』。淡い雰囲気のよいデイヴィッド・ロバーツの『カリフの霊廟、カイロ、エジプト』。光と影が印象的だったのは、ターナーの『テムズ河畔フェニングズ埠頭の火事、バーモンジー』と、ヘンリー・ブライトの『迫り来る嵐、ヤーマス海岸、ノーフォーク』。小さな人物がいい味を出しているサミュエル・プラウトの『ヴェネツィアの運河のカプリッチョ』もいい。ジョン・ラスキンの『月桂樹の枝の習作』は、青と白しか使っていないのに惹かれるものがあった。ほかに好きだったのは、ウィリアム・フレデリック・イームズの『ディナンの大通りにて、ブルターニュ地方』と、ヘレン・アリンガムの『収穫の進む畑、ケント州ウェスターハム近郊』。
 こうして見てみると、ターナーとジョン・ラスキン以外は知らない人だ。有名じゃなくても素敵な絵を描く人はたくさんいるということですね。名前の売れている人とそうでない人との差はどこにあるんだろう。

Bunkamura ザ・ミュージアム』東京都渋谷区道玄坂2-24-1(地図)

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。