『ふしぎなキリスト教』橋爪大三郎×大澤真幸

 講談社現代新書。
 二人の対談形式で話が進んでいく。大澤が質問を含めた司会進行を担当している。「一神教を理解する」「イエス・キリストとは何か」「いかに「西洋」をつくったか」の3部構成になっていて、全体としてキリスト教入門といった体をなしている。歴史を紐解きながら、ユダヤ教、イスラム教、仏教、儒教、神道などとくらべたキリスト教の特殊性を語り、自然科学や資本主義が生まれる背景をキリスト教と絡めながら解いていく。キリスト教が西洋社会を形作る上で大きな役割を担っていることがよくわかる。
 わかりやすい。科学を信じるから奇蹟を信じる。宗教法がないから自由に法律を作れる。キリスト教と関係のないと思われるところまでキリスト教の精神は及んでいる。など、明快な答えを出してくれている。入門者にはありがたい。
 とはいえこんな理解で本当にいいんだろうか、という疑問もわいてくる。根拠はないのだが、単純化しすぎているような気がする。ネット上の違う評者の感想を読むと、著者の事実誤認もあるようだ。ただしキリスト教に対する著者の事実誤認が、著者のキリスト教に対する理解不足に結びついているかどうかはわからない。だからこの本はこの本で、ある程度正しい理解に基づいているのかもしれない。
 どうも私の感想は歯切れが悪い。実のところ微妙な読後感なのだ。キリスト教に対してよくわからない私にとって、この宗教に対する新たな見方を提示してくれる反面、内容にイラッとすることが多かったのも事実なのだ。キリスト教軽視(あるいは蔑視)ともとれるような発言が目につく。特に大澤がひどい。個人的には友人のクリスチャンには読ませたくない本だが、新書大賞2012の第1位をとったほどだから、クリスチャンでも読んでる人は結構いるのだと思う。評価は割れるのではないか。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。