『DTM打ち込みフレーズ制作技法』篠田 元一

 Rittor Music。
 タイトルのとおり、MIDIによる打ち込みに特化した本だ。ドラム、ベース、ギター、ホーン、ストリングス、キーボードそれぞれについて、楽器やプログラミングの解説とプログラミング・パターンが載っている。プログラミング・パターンについては、付属CD-ROMに300以上のスタンダードMIDIファイル(SMF)が掲載されている。ただしキーボードについては解説はほとんどなく、プログラミング・パターンのみを載せている。キーボードの打ち込みは当然できるものということなんだろうか。
 まったく打ち込みをしたことのない私のような人には、結構ハードルが高い。一応MIDIの基本なども解説しているのだが、まずそこでの単語がよくわからない。ネットやマニュアルで調べたりして何とかついていく感じだ。おそらく入門者というよりは初心者を対象とした本なのだと思う。でも最後まで食らいついていくと、そこそこ打ち込みのイロハくらいは身につくようになる。そういう意味でやりがいがある。
 本書は打ち込みの基本例はそれなりにジャンルごとにそろえているが、音楽理論的な面についてはあまり触れられていない。ただ、ギターについての解説だけはコード理論などがわかっていないときついかもしれない。なぜかここだけは妙に理論的だ。また、フレージングやコードヴォイシングについては別途勉強する必要があるだろう。本書だけでは音楽は作れない。譜例の切り貼りだけで音楽を作ろうとしても無理である。そういう意味ではパターンは少ない。でも、初心者が打ち込みの勉強をする目的で読むのなら、十分なボリュームがある。パターンをDAWソフトに読み込んで中身を精査するだけで、結構な力がつくと思われる。
 最後に。SMFを実際にパソコンに取り込んで聴いてみたりしてみたが、打ち込みくささというのはやっぱりある。ドラムとベースは打ち込みの音を聞き慣れているせいかあまり気にならないが、ほかのパートはちょっと気になる。楽器を自分で弾けるのであれば、その音を録音した方が当然自然に聞こえる。あと、それぞれの楽器の特性がわかっていないで打ち込むと、余計に不自然さは目立つことになる。狙って打ち込みくささを出したいのであれば別であろうが。
 私にとってはよい参考書になりそうだ。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。