青い帯のあるカップ

 その町の一番のメイン通りに面したその店は、どこか風格が備わっていた。一歩店に入ると、外の喧噪とは打って変わって静かな高級感が漂っている。まだ学生の身のわずかな小遣い程度では到底手の出ない値が並んでいる。憧れと諦めの入り混じった面持ちでそれらの商品を眺めていると、奥にまだ小部屋が続いているのに気づいた。こちら側よりも明らかに照明を落とした薄暗いその部屋は、棚もただの金属パイプをつないでつくられたもので、上に乗っている皿やカップも雑然としており、まるで倉庫のようだった。しかし書き殴ったような値札が付いているのを見ると、一応商品のようだ。型落ち品か何かなのだろう。このカップを見つけたのはその部屋を物色して少し経った頃だった。この店の他のカップとは違うシンプルでカジュアルなデザインで、それが逆に目を引いた。値段も手頃である。これが自分の小遣いで購入した初めてのコーヒーカップとなった。
 そしてこれが、今我が家にある一番古いコーヒーカップでもある。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。