『俳句いきなり入門』千野 帽子

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 NHK出版新書。
 刺激的にして挑発的である。ちょっと普通の俳句の本とは違う。
 俳句のおもしろさは句会にあるという。俳句の意味は作者が決めるのではない。鑑賞者が決めるのだ。自作を発表するために句会に出るのではなく、句会に出るために自作を作る。そして句会に出された句を評し合うことを楽しむ。俳句は言葉を使ったゲームだ。自己表現したい人は俳句を作るな。他の方法(文章を書いたり詩歌を作ったり)で自己表現をしろ。
 俳句の持つじじくさいイメージ、風流なイメージを覆す。でも本書は俳句論の本ではない。俳句の入門書だ。だから、上で述べたようなことを書いた上で、いけてる俳句を作るにはどうしたらいいのか、いけてない俳句はどんな俳句をいうのか、ということを、丁寧に、でも毒をもって教えてくれる。俳句は17音からなるといった基本的なことから、かっこいい俳句を作るための技術まで、俳句を作る入門的なところはきちっと押さえている。説明にキレがある(俳句には切れがあるけど)。俳句をこれから作りたい人はもちろんのこと、長いこと俳句をやっているのに伸び悩んでいる人まで、かなり目から鱗の話題が揃っていると思う。
 ただ、内容はすばらしいと思うのだが、なにぶん挑発的である。ポエムやポエマー(ポーイットと呼ばないところがまた意地が悪い)を馬鹿にしている。自分を表現したい人をこき下ろす。そのあたりに反感を覚える人はいると思うけれど、それらを我慢しさえすれば、一歩壁を乗り越えられる。そんな俳句入門書。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。