『もじのみほん』アイデア編集部編

 誠文堂新光社。副題『仮名で見分けるフォントガイド』。
 ひらすら平仮名と片仮名が並んでいる本。
 前半は「50音順ひらがな・カタカナ見本」となっていて、見開きページにひとつの文字(「あ」とか「い」とか)が120種類のフォント別に並んでいる。たとえば右上角は「築地体三号細仮名」、左下角は「丸明オールド」というふうに。これが平仮名「あ」から「ん」まで、片仮名「ア」から「ン」まで続く。選ばれているフォントは、明朝とかゴシックなどの比較的標準的なものである。この前半部はボディを示す線が文字の周囲に描かれているのがいい(残念ながら後半部にはこの線がない)。
 後半は「スタイル別見本」となっていて、前半部で取り上げられなかったフォント200種類くらいが、「丸ゴシック」とか「装飾書体」とかのスタイル別に50音一続きで並べられている。つまり後半は、見開きでひとつのフォントの中の50音がすべて見られるようになっている(前半はひとつのフォントが200ページくらいに分かれているわけです)。
 こんな本のどこがおもしろいのか、といぶかしむ向きもあるかもしれない。でもおもしろいんです。帯には「仮名のかたちの一覧で知りたいフォントが分かる・探せる」と書いてあるけれど、そんな目的とは別の意味でおもしろい。ふだん何気なく読んでいる本や新聞の文字。みんな同じように見えるけれど、比べてみるとこんなに違う形をしているんだ、こんなに雰囲気が違うんだという発見。ああ、楽しい。
 ただものすごく残念なのが、拗音、濁音、促音などの文字や、句読点などの約物が掲載されていないこと。フォントを知る手がかりとしてはこんなものはなくてもいいのだけれど、個人的興味からは載せておいてほしかった。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。