『世界の美しい欧文活字見本帳』嘉瑞工房コレクション

 グラフィック社。
 どのページを開いても、素敵な欧文デザインが目に飛び込んでくる。これは嘉瑞工房という欧文活版印刷会社が所有している、様々な活字会社、鋳造会社から出されている書体の見本帳やパンフレットなどを取り上げた本だ。120以上の書体、約350もの見本帳類、古くは18世紀から現在まで。見応えがある。ただ文字が並んでいるだけなのではない。絵や写真との取り合わせ、文字の大きさや色などを変えた他の書体との組み合わせなど、それこそ美しい図版の数々がここにはある。活字会社がここぞというPRのために作ったものだから、信頼感もある。私は欧文に囲まれた生活をしていないから、どういう組版が美しいのか、どういう文字間、行間が美しいのかといったことが、直感としてはわからない。でもこの本を美の規準にするという手もありなんじゃないかという気がしたりする。世の中で色んなデザイン、組版があふれているけれど、少なくとも本書は平均以上だろうというあまり根拠のない確信。でも確からしい確信。
 本書は図版が大きい。ページの大部分を占めている。まず「見せる」ということを主眼にしているからだろう。そして、そのほんの隅っこにコンパクトながらきちっとしたコメントが添えられている。それが、一瞬見所がわからずに戸惑った視線を落ち着かせる役目を担っている。一度は全部目をとおしたあとも、しばらくするとまた、つい開いてしまう本。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。