『Heavenly Music』細野 晴臣

 2013年。
 いつものことではあるのだが、肩の力の抜けた自然体の細野晴臣がここにいる。基本、カヴァー集である。海外のものが多いが、日本語に訳している曲もある。例えば『Tip Toe Thru The Tulips with Me』(Nick Lucas)、『All La Glory』(THE BAND)なんかをほっこりと日本語で歌っている。いい。よくよく聴いてみると、英語詞のものよりも日本語詞のものの方がいいような気がする。カントリーチックな『When I Paint My Masterpiece』(Bob Dylan)、アンプラグドなジャジーな雰囲気の『ラムはお好き? part 2』(これは細野の作曲)。
 全体的に軽く流しているような感じもする今回のアルバムだが、曲解説の下には原発事故に絡んだコメントが多く書かれていて、この何事もないように流れてくる音楽が逆に怖い。最後の、場末のアンニュイな感じを醸し出している曲のタイトルは『Radio Activity』(Kraftwerk)、すなわち『放射能』である。そう考えると、『Heavenly Music』というこのアルバム名が、単に名曲を集めたという意味なのではなく、もっと違う意味を含んでいるような気がしてくる。考えすぎか。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。