『マスタリング・エンジニアが教える 音楽の聴き方と作り方』小泉 由香

 Rittor Music。
 著者は音楽をスピーカーで聴くことを勧めている。そしてPART 1では、スピーカーを使ってどうやって耳を鍛えるかということを解説している。まじめにやろうとすると、結構厳しい。自分の耳が、スピーカーから出てくる音をどのように捉えられるようになれば合格ラインなのかが掴みづらいからだ。繰り返し試行錯誤して何時間も音楽と向き合っていけば、そういう耳にもなるのかもしれない。でも難しいと思う。こういうことは、直接手取り足取りその場で教えてもらいたい気がする。
 PART 2ではマスタリングの実際と称して、著者がマスタリングしている最中の他の関係者とのやりとりなどを紹介したりしている。時折交ざる対談、コラムも併せて雑談という感はあるものの、プロの本音が聞けて楽しい。音楽を携帯プレーヤーなどに圧縮して聴くことについてのエンジニアの考え方などが透けて見える。PART 3では、音楽制作に役立つ10の常識が書かれているが、コラム的な軽い内容である。
 音楽を聴くときの聴き方として、視覚タイプと体感タイプがいるという。ああ、そういえば私は音を見ているな、という発見があった。全体的にすぐに役立つというほどのものでもないけれど、読み物としては楽しめた。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。