『Missile Bell』Trace Bundy

 2008年。トレース・バンディ。アメリカのコロラド州ボールダーで行われたコンサートの模様を収めたDVDとCDをセットにしたものである。
 彼はアコースティック・ギタリストで、ファンからは「アコースティック・ニンジャ」と呼ばれているという。それは、彼自身が忍者好きで『Acoustic Ninja』という曲を作っているのはもちろんのこと、その演奏風景からもそう呼ばれるにふさわしいようなパフォーマンスを行うせいなのだと思う。さまざまなカポ(カポタスト)を何個もギターにつけて、それをずらしたり外したり、またつけ直したりと、ほかにはない演奏をする。ここで、カポというのは、ふつうギターの全部の弦をギターに挟むようにつけて調を変えたり(弦全体を1音とか2音とか上げたり)するものだが、全部の弦ではなくて一部の弦だけの音を上げたりするパーシャル・カポなんてものもある。彼はこれらのカポを複数つけて、その合間を縫うように指を滑らせて演奏をするのだ。『Hot Capo Stew』という曲では5個ものカポが使われていて、最後にはそれらを全部少しずつ取り外していって演奏を終わるというような芸当をしたりする。そのほか、両手タッピングだったりギター本体をパーカッションのようにたたいたり、ルーピング装置を使って自分の演奏をダビングしながら多重演奏を行ったりと、まさに「Ninja」と呼ばれるに値する演奏を披露する。
 ただ、これはライブ盤のせいかちょっと音が荒くて雑な感じがする。本作はCDを聴くというよりは、DVDを観てトレース・バンディのパフォーマンスを満喫しながら楽しむ、というのがいいやり方なのだと思う。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。