『表情』ゲーリー・フェイジン

 マール社。Gary Faigin。みつじまちこ訳。副題『顔の微妙な表情を描く』。
 主に、ある感情が沸いたときに顔の中のどの筋肉が動き、どのような表情を作るのかということを解説している。用いられている図版は、巨匠の絵や、プリミティヴアート、彫刻、漫画などであるが、中心となっているのは著者が描いた鉛筆画である。「感情を伝えるコツは写真のように厳密に描くことではなく、しわをいかに正確に描くかだ」という趣旨からも、確かに鉛筆画の方が特徴がわかりやすいのだろう。とはいえ著者のデッサンは十分すぎるくらいリアルである。
 全体は3章に分かれており、初めに頭部や目鼻の構造を解説している。そして第2章では、解剖学では20から26あるといわれている顔面筋のうち、表情に関係する12の筋肉を取り上げ、それらの筋肉の動きがどのように表情に影響を与えるのかについて述べている。そして第3章では、誰が見ても同じ認識を示す6つの表情、悲しみ、怒り、喜び、恐怖、嫌悪、驚きを取り上げ、詳細に解説していく。
 説明は決して簡単であるとはいえないが、時間をかけてでも読む価値はある。例えば悲しみを描きたいとき、どのように描けば悲しんでいるように見えるのかがわからなかったのが、どこの筋肉あるいは部位(目とか眉とか)に注目すればよいのかがわかるようになった。今まで漠然としか見えなかった顔の表情が、具体的な筋肉の動きと絡めて見えるようになった。 私はこの本を手に入れて、本当によかったと思う。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。