『ラファエル前派展』森アーツセンターギャラリー

 2014年1月25日~4月6日。
 印象的だったのは、ジョン・エヴァレット・ミレイの『オフィーリア』に代表される、自然をそのまま写し取ったかのような鮮やかな色彩と緻密さからなる作品の数々である。まるで写真のような色は真に迫っていて、鑑賞者を圧倒させる。自然をありのままに再現するというのは、当時スキャンダラスだとさえいわれたラファエル前派を擁護した美術批評家ジョン・ラスキンの主張でもあった。おそらくは彼の擁護のお陰もあって、ラファエル前派はここまで受け入れられるようにもなったのであろう。それにしても、どこがスキャンダラスだったのかということについては、現代に生きる私のような人間にはちょっとわかりにくい。ラファエル前派は、当時ラファエロを規範とした保守的なアカデミズムに反旗を翻して、ラファエロ以前、例えば中世や初期ルネッサンスの絵画を範とすべく結成されたという。それがいかにスキャンダラスなことだったのかということが私には今ひとつピンとこない。キリストを描くときに、理想化された姿ではなくあまりに卑俗に描いたというのはその理由のひとつかもしれないが、それが核心だったというわけではないだろう。おそらく私の生きている現代の芸術は何でもありの時代なのだ。例えば最近美術界でスキャンダルを巻き起こしたといえば、会田誠の絵画くらいしか思い浮かばない。19世紀には美術とはこうあるべきという確固たる基準があったのに対し、今はその枠が大きく拡がり、美術の範疇が曖昧になってきているのではないか。現代は逆に新しい美術を生み出すことにこそ価値がある、という考えが主流になってきているといえるのだと思う。個人的には新しくなくたっていいものはいいと思うのではあるが。
 この展覧会の見所は、前出の『オフィーリア』のほか、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの『ベアタ・ベアトリクス』 『プロセルピナ』、エドワード・バーン=ジョーンズの『「愛」に導かれる巡礼』などだと思う。ほかにはヘンリー・ウォリスの小品『シェイクスピアが生まれた部屋』なども好きだった。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。