『ミュシャ展』北海道立近代美術館

 2014年4月5日~6月15日。Alphonse Mucha。副題『パリの夢 モラヴィアの祈り』。
 アール・ヌーヴォーの華ともいえるミュシャ。ミュシャというと、縦長の画面に花や植物、幾何学模様を背景に、女性がポーズを取っているポスターのイメージが強い。例えば大きな評判を呼んだ、サラ・ベルナールを主題に添えた『ジスモンダ』などがそうだ。四季や芸術、宝石などをテーマにした作品群を思い浮かべる人も多いかもしれない。
 でも、ポスターだけがミュシャではないんだ、ということを、この展覧会は教えてくれた。アール・ヌーヴォー調のポスターのほか、『ヤロスロヴァの肖像』や『百合の聖母』などの油彩、舞台の衣装デザイン、本の挿絵、お菓子の缶のデザインなど、240点にのぼる作品が展示されている。ボスニア伝説や戦争をテーマとした、暗い作品もある。それら膨大な作品の中でも目を引いたのは、スラヴ民族の歴史を20枚の作品にまとめた一連の『スラヴ叙事詩』である。残念なことに完成作品の展示はなかったものの、巨大な習作や下絵の数々から、その壮大さというかすごさが、ひしひしと伝わってきた。いつか実物を見てみたいと思った。
 様式化されたポスターがミュシャの魅力の主役であることは確かであろうが、そうじゃない素顔のミュシャがほかにもいて、それらの魅力も捨てがたいということを確かに教わった展覧会だった。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。