『The Anatomy of Type』Stephen Coles

 Harper Design。副題『A Graphic Guide to 100 Typefaces』。
 「字体の解剖」とか「字体の分析」みたいな意味のタイトル。副題にもあるように、クラス分けされた100種類の書体の形を分析的に解説している。
 本を開くと、まずはカラフルな大きな文字列が目に飛び込んでくる。ひとつの書体が見開きで解説されているのだ。そしてそれらの字の特徴的な箇所について矢印で説明している。例えばMinionだったら、「e」の横棒がちょっと斜めになっているだとか、「t」の横棒と縦棒の間(左上のところ)にはそれらをつなぐ斜めのブラケットがないだとか、「g」は細いけれど下の丸が大きいだとか、いろいろ見所を教えてくれる。さらにその書体のデザイナー、製作会社などはもちろんのこと、その書体が作られた意図だとか歴史なども書かれている。比較してみるといい書体が載っていたり、どんな場面で使えば効果的かなんて情報まで書いてあるので、とても参考になる。掲載されている書体はGill SansとかTimes New Romanなどの古い書体も含まれているけれど、2000年以降に作られた、わりと新しい書体が多い印象を持った。
 字間設定の妙だとか文章を組んだときの見え方なんてものはこの本には書いていないけれど、字の形そのものに対するガイドとしてはとてもよくできている。ふだん何とはなしに読んでいる文字が、細部を見るとこんなに違っているのかとびっくりする。残念なことにこの本は洋書で欧文書体を対象にしたものだけれど、和文書体を対象にしたこういう本があってもいいのにと思った。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。