『子どもの難問』野矢 茂樹 編著

 中央公論新社。副題『哲学者の先生、教えてください!』。
 「勉強しなくちゃいけないの?」「死んだらどうなるの?」「悪いことってなに?」「自分らしいってどういうことだろう?」「友だちって、いなくちゃいけないもの?」「心ってどこにあるの?」といった、子供が発しそうな22個の質問に対して、哲学者の先生が丁寧に答えてくれる。ひとつの質問には二人の哲学者が別々に回答しており、哲学者の先生は23人。
 どれもこれも簡単には答えられそうもない難しい質問ばかり。それを子供でも分かるような易しい言葉でひとり3ページで答えてくれる。同じ質問に2つの答えがあり、それぞれがまったく違う切り口で説明したりしていて、おもしろい。文は本当に平易なのでさらっと読めてしまうが、振り返ってみると実は深い答えが潜んでいたりして侮れない。答えが完結していなくて新たな問いを提示していたりもする。たぶんどの質問も本当に難問なのだ。さらっと読んだだけで分かったふりになっていては、大事なものを見落としてしまう。そういう意味では、哲学はちょっと引っかかるくらいの難しい文で成り立っている方がいいのかもしれない。読みにくい言葉で書かれていると、読者もちょっと考えながら読まざるを得ない。その点でこの本は読みやすすぎるかもしれない。その分慎重に読み進めた方がいい。
 野矢は「子どもたちにも読んでもらいたい」という。大人も子供も楽しめる本なのだ。「子どもにしか哲学はできない。しかし、子どもには哲学はできない。」そんな逆説の中にある哲学の一端に触れられる。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。