『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』香山 リカ

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 朝日新書。
 著者が感じているソーシャルメディアの気持ち悪さは多岐にわたるが、例えばこんなことを述べている。「SNSは人と人とをつなげるツールであるどころか、一方的な発信を双方向的なコミュニケーションだとカン違いさせる、世にも気持ち悪い装置なのではないか」。私としては、SNSは厄介だとは思うが、そう気持ち悪いという感覚ではない。しかし、本書の中で述べられているSNSの妙な息苦しさ、SNS疲れ、傷つけ合う人々、ネトウヨの存在、炎上、プチ正義感、いいねの拡散、依存などの事例は、確かにそういう面があるかもしれないと頷ける点も多い。私にとっての厄介さと著者にとっての気持ち悪さは、もしかすると同類のものかもしれない。
 ソーシャルメディアはコミュニケーションツールであって、コミュニケーションを濃密にさせると多くの人は思っているかもしれないが、実はコミュニケーション(特に身体性としての)を希薄にしているのではないかとの問題意識は重要だと思う。ただし本書全体を通しての著者の主張が何かということは、いくぶんぼやけているように感じる。単なる事例紹介と簡単な感想、それに終始しているように感じた。それぞれの事例について、もっと掘り下げた議論をしてくれればよかったのにと思う。また、ソーシャルメディアといっても、ツイッター、フェイスブック、LINE、ブログ、インスタグラムなどいろいろとあり、それらはそれぞれに特徴も違っているので、これらをひとくくりにする無理も感じた。ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのかについてのまとめ的章がないので、著者のいいたいことが少しわかりづらいのが難点である。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。