『須賀敦子全集 第2巻』須賀 敦子

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 河出文庫。
 単行本『ヴェネツィアの宿』と『トリエステの坂道』、そして1957年から1992年までのエッセイが収められている。『ヴェネツィアの宿』は日本とヨーロッパを行き来しながらの主に日本の家族のこと、『トリエステの坂道』はイタリアを舞台としたイタリアの家族のことが描かれている。いずれもエッセイではあるが、豊かな人物描写や風景や光景、時代背景の記述が、やわらかながら確かな筆致で書かれているせいか、まるで小説を読んでいるような気になってくる。でも私小説とは違う、不思議なエッセイ。戦後パリに留学し、後にイタリアに住むようになりその地で夫を迎えた須賀の、飾らない等身大の経験が語られる。彼女の文体と描かれている内容との絶妙な距離感が、読者を引き込む。第3巻も読んでみたくなる。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。