『安全。でも、安心できない・・・』中谷内 一也

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 ちくま新書。副題『信頼をめぐる心理学』。
 企業や行政がどんなに安全を主張しても、そしてそれが本当に安全だったとしても、それでもやっぱり安心できないことはよくある。「安全」と「安心」は「安全・安心」とひとくくりにされることが多いけれど、この2つは必ずしも同時に満たされるわけではない。似て非なる言葉なのだ。じゃあ、どう違うの?そんな質問にわかりやすく答えてくれるのがこの本だ。まあ、ひとつの解釈なのではあるけれど。
 安全はリスクと強い関連がある。一方安心はリスクというよりは信頼と関連がある。それが著者の主張だ。安全性をいくら極めても、信頼されるとは限らない。ではもしそうだとすれば、どうすれば信頼されるのか。そんなことを分析している。そしてそのことと平行して、理性と感情の働きという点にも触れる。リスクは理性的な産物だ。でも人間は理性だけで生きているわけじゃない。理性もあれば感情もある。それを忘れると、せっかく安全を期していても安心を得られないことになってしまう。それでは片手落ちではないか。
 安全と安心という2つの言葉の間で悩んでいる人は手に取ってみてもいいかもしれない。ただ、個人的にはもう少し突っ込んだ議論を期待していたのであるが。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。