『作詞力』伊藤 涼

 Rittor Music。副題『ウケル・イケテル・カシカケル』。
 タイトルだけを見るとハウツー本のように見えるけれど、これはハウツー本ではない。作詞にまつわるエッセイだ。でもただのエッセイではない。読者に向けた力強いメッセージがそこかしこにあふれ出ている熱いエッセイだ。
 作詞家に必要な力って何だろうか。作詞家に求められているものって何だろうか。プロの作詞家になるにはどうしたらいいんだろうか。この本では、実際の音楽業界の裏話や、自身の経験を交えながら、そんなことに答えてくれる。ときには厳しいことも書きながらも、基本的には作詞家を目指している(であろう)読者を応援してくれる。背中を押してくれる。それはまるで会社の先輩が新人に対してする、温かいまなざしを伴った熱血指導みたいだ。
 作詞家が音楽業界で占めている位置が生々しく語られる。最初に書いたように、この本を読んでも全然詞を書けるようにはならないけれど、作詞家になるために必要な心構えというか心意気みたいなもの(それを作詞力というのかもしれない)は教えてくれる。たとえ作詞家になる気がないのだとしても、この本は読み物としてもおもしろい。「なんで作詞しないの?」という著者の問いかけに耳を傾けてみてはいかがだろうか。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。