『これから読む聖書 創世記』橋爪 大三郎

 春秋社。
 本当は旧約聖書を横に置いて、この本と交互に読み進めるのがいい。でも私は新約聖書しか持っていなかったので、この本だけで読んだ。それだけでも十分に楽しめた。
 対象としているのは膨大な聖書の中でも創世記だけである。しかし創世記には、天地創造、楽園追放、カインとアベル、ノアの洪水、バベルの塔、ソドムとゴモラ、イサクの犠牲、ヤコブの物語、ヨセフの物語といった、クリスチャンでなくても聞いたことがあるような有名な話がたくさん載っている。絵画鑑賞が好きな人なら、宗教画というジャンルがあって、これらの話の一場面を表した絵画がたくさん描かれてきたのを知っているだろう。この本は、それらのテーマの裏に隠された物語あるいは意味について、(ひとつの解釈ではあるが)教えてくれる。神と人間の関係を軸にして、聖書の言葉のどこがポイントとなっているのか、物語をどうやって解釈したらいいのかについて、まるで講義メモのような体裁で解説している。
 読んでいて不思議だったことがある。聖書はいくつかのテキストをを切り貼りして作られたことは確からしい。だから中には辻褄が合わなかったり解釈が分かれるところも多いらしい。 なのにどうして聖書はこんなに大多数の人に読まれ、信じられ、また、そこに描かれる「神」が信仰されることになったのだろう。どうしてここに宗教が生まれたのだろう。そんな疑問を持ってしまう私はきっと落ちこぼれの生徒でもあり、非クリスチャンの代表であるのかもしれない(キリスト教だけが旧約聖書を聖典としているわけではないので、こういう言い方は不適切かもしれない。さらにいえば「旧約」聖書と言ってしまっている時点で、私はキリスト教の観点からしか聖書を見ていないということになり、さらに不適切なのかもしれない)。
 それはともかく、聖書はおもしろいと思った(おもしろいと表現するのは不適切かもしれない。ある宗教の聖典について感想を述べるのは実に難しい)。ちょっと聖書の原典に触れたいと思った。そう思わせる解説書である。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。