『名画は語る』千住 博

 キノブックス。
 名画と言われる45枚の西洋画について、日本画家である千住博が語る。彼は日本画家と言われながらも西洋の絵画に大きな影響を受けてきたのだという。本書は、ときには彼の言葉で、そしてときには画家自身や周囲の人たちの言葉を借りて、軽妙に絵画の特長や裏話について語っていく。どうしてその絵に魅了されるのか。どうして画家はその絵を描いたのか。絵の示す真実とは何か。
 読みやすいのに、興味をそそる適度な深さがあって、実におもしろい。知らない絵も中にはあった。でもその絵にもなぜか引き込まれた。著者は絵について解説しながらも、「いい絵」とはどんな絵だろうかと、逆に読者に問いかけてくる。そして最後に著者の考える「いい絵」との答え合わせが待っている。もちろんその答えはひとりひとり違っていて全然構わないのだろうけれど、こうして時代を超えて鑑賞され続けてきたからには、ほかの絵とは違う何かがその絵には備わっているのだろう。それが何なのか、この45枚の絵画とそれに添えられた文章から、おぼろげながらも読者に伝わってくる。
 絵画にあまり興味がない人にとっても、これを読めば、きっと絵を見るのが好きになってしまうんじゃないかと思えてしまうくらい、素敵な本。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。