『Growing Up With the Impressionists』

 Sotheby’s Publications。副題『The Diary of Julie Manet』。翻訳・編集:Rosalind de Boland Roberts and Jane Roberts。
 ウジェーヌ・マネとベルト・モリゾの一人娘であるジュリー・マネの日記である。ウジェーヌ・マネは画家のエドゥアール・マネの弟。ベルト・モリゾは印象派の女流画家で、私の好きな画家のひとりでもある。そんなジュリー・マネの、14歳から21歳までに書かれた日記が翻訳されている。西暦でいうと1893年から1899年にあたる。
 彼女は印象派の人々と深い親交があった。マネはもちろん、ルノワール、モネ、ドガなど。ほかに著名人では、マラルメ、ヴァレリーなどとも親しかった。 そんな人たちと関わりを持ちながら、自身も絵を描いていた。この日記には、彼らとの交遊のほかに、絵画や文学、音楽などの芸術の話題や、ドレフュス事件などの社会問題などについても書かれている。絵画についての冷静な分析には驚かされる。
 この日記が書かれたのは父親の死後で、この日記を書いている途中で母親も亡くし、親代わりでもあったマラルメも亡くしている。本書には、彼らに対する愛情が強く表れており、心が痛む。
 日記は、ドガの弟子であったエルネスト・ルアールとの結婚の直前に終わっている。結婚後しばらくしてから日記を再開したようだが、結婚前とは違い、敬虔なクリスチャンとして、内省的な記述になっていったという。
 本書は、ひとりの少女による、印象派の内部から社会を眺めた貴重な記録である。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。