『東大の入試問題で「数学的センス」が身につく』時田 啓光

 日本実業出版社。
 東京大学の数学の入試問題で求めているものを、「分解力」、「想定力」、「論証力」、「批判力」の4つに分け、それぞれに関係する問題を3、4問ずつ、全部で15問取り上げ、それらについて解説している。
 東大の問題は滅茶苦茶難しいというイメージがあるかもしれないけれど、実際に問われているのは数学の基礎的なことで、そこのところをきちんと理解していて論理立てて考えることさえできれば、意外と解けるものなのだということが、この本を読むとわかる。本書で採り上げている問題は、ものすごく高度な数学的知識を必要とするものはまったくなく、問題によっては中学校までに習った知識だけで解けてしまうものもある。ただし当然のことだけれど、問題で何を聞かれているかをちゃんとわかった上で、どうしたらそれに答えることができるのかという戦略を立てられる「力」はなければならない。その力さえあれば、あとはがんばって黙々と解答を作るだけだ。もちろんその力を持っていて、かつがんばる気力のある人はそんなにはいないから、東大に受かるのは難しいのだとは言えるのだけれど。
 解説はとても丁寧でやさしく書かれているので、この本を読んで理解すること自体はそう難しいことではない。おそらく東大の入試問題を見たことのある人はごくわずかしかいないと思うが、本書を読むと、東大が受験者を落とすための問題を作っているのではなく、東大が欲している人材を採るために、良心的な問題を作っているのがよくわかる。東大に対する壁みたいなものを少しばかり崩してくれる本。

shizukiaki

札幌で絵やイラストを描いています。音楽や読書も好きなので、ブログではいろいろなジャンルの投稿をしています。